エクステリアさくらで、お客様の暮らしをデザインさせていただいております、高橋(仮名)でございます。
秋分の日が近づき、日ごとに夜の時間が長くなってまいりました。 夏の賑わいも遠のき、家で過ごす時間が、どこか愛おしく感じられる季節でございますね。
皆様は、日が暮れると、リビングのカーテンを閉めてしまってはいらっしゃいませんか。 もちろん、プライバシーを守るためには大切なことでございます。 しかし、もし、そのカーテンの向こう側に、室内と同じくらい心地よく、そして美しい空間が広がっているとしたら…。 皆様の暮らしは、もっと広く、もっと豊かなものになるのかもしれません。
今日は、そんな、“内”と“外”の境界線を、そっと曖昧にする、お庭づくりの物語でございます。
第一の魔法:「床」を繋ぐこと
人が、室内からお庭へ出る時、一番ためらいを感じるのは、窓辺にある「段差」でございます。 「よっこいしょ」と、一度気合を入れなければならない、あの数センチ、数十センチの壁。
わたくしたちは、その壁を、魔法のように消し去るお手伝いをいたします。 リビングのフローリングの高さと、ほとんど同じ高さで、滑らかに繋がるウッドデッキやタイルデッキを設えるのです。
すると、どうでしょう。 窓を開け放てば、そこはもう、ただの「外」ではございません。裸足のまま、思わず一歩、足を踏み出したくなるような、**「リビングの続き」**の空間が生まれるのです。 室内の床の色と、デッキの素材の色を合わせることで、その繋がりは、さらに強く、美しくなります。
第二の魔法:「天井」を繋ぐこと
床が繋がったら、次は、頭上の空間でございます。 お家の屋根から続く**「軒(のき)」を深くしたり、あるいはデッキの上に木製の「パーゴラ」**を組んだりすることで、そこは「半屋外」という、とても心地よい特別な場所になります。
強い日差しや、パラパラと降る小雨を優しく遮ってくれる、安心感のある「天井」。 しかし、壁はなく、秋の心地よい風は、いつでも通り抜けていく。
内でもなく、外でもない、その曖昧な空間こそが、暮らしの中に、この上ない安らぎと、豊かな時間をもたらしてくれるのでございます。
第三の魔法:「灯り」を繋ぐこと
そして、秋の夜長を愉しむために、最も大切な魔法が「灯り」でございます。 わたくしは、室内の照明と、お庭の照明を、別々のものとは考えません。
室内のリビングの灯りが、窓を通して、デッキの上をふわりと照らし出す。 そして、デッキの足元に埋め込まれた小さな灯りが、今度はお部屋の中を、優しく見守るように輝く。 さらに、お庭のシンボルツリーが、下からのライトアップで幻想的に浮かび上がり、それがリビングのソファから眺める、一枚の絵画となる…。
このように、“内”と“外”の灯りを、一つの物語としてデザインすることで、夜のお庭は、決して「真っ暗で怖い場所」ではなく、「リビングと繋がった、美しく、そして心安らぐ風景」へと変わるのです。
本当に豊かな暮らしの空間は、決して、四つの壁の内側だけで完結するものではございません。
窓を開け、カーテンを開け放ち、お庭という、もう一つのリビングを手に入れる。 わたくしたちプランナーの仕事は、そのための、美しく、そして心地よい「架け橋」を、お客様とご一緒に創り上げていくことでございます。
今宵、皆様も、ぜひカーテンを少しだけ開けて、その向こう側に広がる、新しいリビングを想像してみてはいかがでしょうか。