エクステリアさくらの職人をやっている、鈴木(仮名)だ。
秋晴れが続いて、カラッとして、掃除をするにはいい陽気だな。 夏の間についた、駐車場の黒ズミや、アプローチの緑色のコケ。そういうのが、やけに目につく頃じゃねぇか?
「よし、いっちょ、流行りの高圧洗浄機で、全部ブッ飛ばしてやるか!」 そう思って、物置から引っ張り出してきた奴もいるかもしれねぇ。 ああ、気持ちはわかる。あの機械で、汚れがズバッと落ちていく様は、見ていてスカッとするもんな。
だがな、待てよ。 その使い方、本当に合ってんのか? 高圧洗浄機ってのはな、便利な道具であると同時に、あんたの大事な家を一瞬でぶっ壊しちまう**「諸刃の剣」**でもあるんだ。 今日は、その使い方を間違えて、俺たちに泣きついてくる前に、プロの「常識」を教えてやる。
まず知れ。お前が戦ってるのは、「汚れ」だけじゃねぇ。
夏の間についた汚れってのは、ただの土埃じゃねぇ。 ジメジメした梅雨と、暑い夏を越えて、根を張った**「コケ」や「カビ」**だ。 こいつらを今、放っておくと、どうなる?
秋の雨で、さらに元気に育って、冬を越す。 そして、春になったら、もっと頑固な、真っ黒、真っ緑の汚れになって、あんたの前に立ちはだかるんだ。 しかもな、コケってのは、湿気を含むから、タイルや石の上にあると、雨の日にツルッと滑って、大怪我のもとになる。
だから、この時期に、一度きれいにリセットしておくってのは、大正解だ。 問題は、その「やり方」だ。
どこに「撃つ」か。そこが、素人とプロの分かれ道だ。
いいか、高圧洗浄機は、どこにでも使っていいわけじゃねぇ。 素材との「相性」があるんだ。
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【やってOKな場所】
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駐車場のコンクリート(土間コン):こいつは頑丈だ。ガンガンやっていい。面白いほどきれいになるだろう。
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タイル(磁器質):これも、だいたいは大丈夫だ。だがな、タイルとタイルの間の**「目地」**の部分。そこを集中攻撃すると、目地がえぐれて、後で面倒なことになるから、気をつけろ。
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【絶対にやるな / 細心の注意をしろ】
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① 天然木のウッドデッキ / フェンス:絶対に、やるな。 木の柔らかい部分がえぐれて、表面が毛羽立って、ささくれだらけになる。せっかく塗ってある保護塗料も、一瞬で剥げ落ちる。木の寿命を、あんた自身の手で縮めてるようなもんだ。こいつらは、デッキブラシで優しく、水洗いしてやれ。
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② 塗り壁(ジョリパッド、漆喰など): これが一番、素人が失敗するやつだ。汚れを落とそうと、ノズル(水の出口)を近づけすぎると、どうなる?**壁が、えぐれる。**塗装が剥げて、そこだけマダラ模様になる。こうなったら、もう俺たちプロが塗り直すしかねぇ。やるなら、一番弱い水圧で、ノズルを壁から1メートルは離して、様子を見ながらだ。
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③ 窓のサッシ、換気扇のフード、外壁のつなぎ目: こいつらに向かって、まともに水を撃つ馬鹿がいるか。そんなことしたら、壁の中や、家の中に、水がジャブジャブ入っていくだろうが。雨漏りの原因を、自分で作ってるようなもんだ。絶対に、やるな。
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高圧洗浄機で一番大事なのはな、「水圧の強さ」じゃねぇ。 **「ノズルとの距離」と「当てる角度」**だ。
汚れが落ちねぇからって、すぐにノズルを近づけるな。まずは距離を保って、角度をつけながら、様子を見ろ。 それでも落ちねぇ頑固な汚れは、高圧洗浄機で無理やり落とすんじゃなく、専用の「洗浄剤」の力を借りるんだ。
スカッとするのは、一瞬だ。 だが、家を壊しちまったら、後悔は一生だ。
俺たちが、ここ所沢で、いろんなお宅のエクステリア工事をして、その後のメンテナンスも見てきてるから、よくわかる。長くきれいに住んでる家は、みんな、無理な手入れはしてねぇもんだ。
自分の家の壁や床が、どの素材で、高圧洗浄機に耐えられるか。 それがわからねぇなら、余計なことはせず、まず俺たちに聞け。それが一番、賢いやり方だ。




