エクステリアさくらで、お客様の暮らしをデザインさせていただいております、高橋(仮名)でございます。
「お隣との境界に、フェンスを立てようと思いまして」
エクステリアのご相談をいただく際、このように、とてもシンプルなご要望からお話が始まることが少なくありません。もちろん、境界を明確にし、プライバシーを守ることは、フェンスが持つ非常に大切な役割でございます。
しかし、わたくしはいつも、お客様にこうお聞きするようにしております。 **「そのフェンスで、どんな暮らしを実現されたいですか?」**と。
なぜならフェンスは、ただの"仕切り"や"壁"ではございません。 選び方一つで、皆様の暮らしの快適さを大きく左右し、お住まいの表情を豊かに彩り、そして、新しい物語を始めるための、大切な「ステージ装置」にもなり得るからでございます。
今日は、後悔しないフェンス選びのために、わたくしたちプランナーがいつも心に留めている、3つの視点についてお話しさせてください。
視点1:「隠す」と「守る」の、心地よいバランスを見つけること。
「道路からの視線が気になるので、完全に隠せるフェンスがいいんです」 そうおっしゃるお客様は、たくさんいらっしゃいます。そのお気持ち、痛いほどよくわかります。
ですが、わたくしは一度立ち止まって、ご提案することがございます。 「完全に視線を塞いでしまうと、お庭に圧迫感が出てしまったり、風が通らず空気がこもってしまったり…。時には、かえって侵入者の隠れ場所となる、防犯上の死角が生まれてしまうこともあるのですよ」と。
大切なのは、**「何から、どこを守りたいのか」**を明確にすること。
例えば、ご家族がくつろぐリビングの窓の前や、お洗濯物を干すテラスは、しっかりとプライバシーを守れる目隠しデザインに。 一方で、玄関アプローチやお庭の奥まった場所は、少しだけ隙間のあるデザインにして、光や風、そして人の気配を適度に通す。
全てを同じフェンスで囲うのではなく、場所ごとに役割を持たせることで、お庭全体が「ただ隠された空間」から、「心地よく守られた、開放的な空間」へと生まれ変わるのです。
視点2:「素材」が語る、10年後の暮らしの物語を想像すること。
「木のフェンスって、温かみがあって憧れるけれど、お手入れが大変かしら…?」 これも、よくいただくご質問の一つでございます。素材選びは、デザインの好みだけでなく、10年後、20年後の暮らし方まで想像することが、とても重要になります。
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「いつまでも変わらない美しさ」を求めるなら… 錆びにくく、お手入れがほとんどいらない**【アルミ形材】や、天然木のような質感を持ちながら腐食の心配がない【樹脂(人工木)】**がおすすめです。忙しい毎日の中でも、変わらない安心感と美観を保ってくれます。
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「時間と共に深まる味わい」を愛でるなら… 定期的な塗装などのメンテナンスが必要になりますが、**【天然木】**にしか出せない本物の質感と、経年変化という唯一無二の「味わい」は何物にも代えがたい魅力がございます。少し手間をかけてあげること自体が、お庭への愛着を深める、素敵な時間になることでしょう。
どちらが良い、悪い、ではございません。どちらの暮らしの物語に、お客様がより心を寄せるか。わたくしたちは、その心に寄り添います。
視点3:フェンスは、大切なお住まいを彩る「額縁」であると知ること。
お客様が、カタログで「このデザインが好き!」と、あるフェンスを指さされたとします。 その時わたくしは、すぐに「かしこまりました」とは申しません。まず、お客様のお住まい全体の写真を拝見しながら、こうお伝えいたします。
「このフェンスのデザイン、とても素敵ですね。では、お住まいの外壁の色や、窓枠のサッシの色、玄関ドアのデザインと合わせて、少し想像してみましょうか」
フェンスは、それ単体で存在するのではなく、大切なお住まいという“絵画”を彩る、**「額縁」**のような存在です。 どんなに素敵な絵画でも、額縁がちぐはぐでは、その魅力は半減してしまいます。
建物のモダンな雰囲気に合わせるのか、植栽の緑に溶け込むようなデザインにするのか。全体を調和させることで、フェンスはお住まいと一体となり、景観を美しく引き締めてくれるのです。
一口にフェンスと申しましても、その選択肢は無限にございます。 そして、その選択が、皆様の暮らしを、これから何十年と左右していくのです。
わたくしたちは、ただカタログから商品を選ぶお手伝いをするのではございません。お客様の10年後、20年後の暮らしまで想像しながら、数多の選択肢の中から、たった一つの「最高の答え」を一緒に見つけ出すパートナーでありたいと、心から願っております。
フェンス一枚から、お庭全体の計画まで。 どうぞ、あなたの物語を、お気軽にお聞かせくださいませ。