エクステリアさくらの事務所で、皆様のささやかなお手伝いをしております、木村(仮名)でございます。
十月も半ばを過ぎ、空気が澄み渡り、空がどこまでも高く感じられる、実りの秋となりました。 皆様は、この豊かな季節を、どのようにお過ごしでございましょうか。
昨日は、佐藤(仮名)さんが、お庭で楽しむ「カフェタイム」について、とてもワクワクするようなお話をしておりましたね。 お庭で過ごす時間が、日々の暮らしに、どれほどの潤いをもたらしてくれることか。わたくしも、そのお話に、深く頷きながら拝読いたしました。
そして、つい先日のことでございます。 そんな「お庭がくれた、豊かな時間」のお裾分けを、わたくしどもに届けてくださった、お客様がいらっしゃいました。
その日、事務所のドアをそっと開けて入っていらしたのは、二年ほど前に、エクステリア工事をご依頼くださった、ご年配の奥様でした。 「こんにちは、木村さん。これ、よろしければ皆様で召し上がって」 そう言って、少し照れたように差し出してくださったのは、小さな、可愛らしいジャムの瓶が二つ。
「まあ、素敵!これは、何のジャムでございますか?」 わたくしがお尋ねしますと、奥様は、本当に嬉しそうに目を細めて、こうお話ししてくださいました。
「あの時、プランナーの高橋(仮名)さんが、『奥様、きっとお好きですよ』と、リビングの前に植えてくださった、あのジューンベリーの木。覚えていらっしゃる? あの木がね、今年、それはそれは、たわわに実をつけてくれて。 小鳥さんたちに、半分お裾分けして、残りを、何年かぶりに主人が手伝ってくれて、ジャムにしたのよ」
奥様は、こう続けられました。 「もう、土いじりも億劫になっていたのだけれど、あの木を眺めたり、小さな実を収穫したりするのが、今では、毎日の何よりの楽しみになって。 わたくしたちが植えたのは、ただの一本の木ではなくて、『来年の六月が、また楽しみね』という、主人との新しい会話だったのだわ、って。 本当に、ありがとうね」
わたくしは、その温かいジャムの瓶の重みを感じながら、胸がいっぱいになりました。
わたくしたちが、ここ所沢の地でさせていただいているエクステリア工事とは、ただ木を植え、ただ石を敷くことではないのだ、と。 ご家族の暮らしの中に、小さな「楽しみ」の種を蒔かせていただき、その種が、お客様の愛情によって、こんなにも豊かな「実り」となり、そして「ご夫婦の新しい会話」という、かけがえのない喜びへと育っていく。 その、尊いプロセスのお手伝いを、させていただいているのだと。
実りの秋。 皆様のお庭では、今、どんな小さな「実り」が、ご家族の笑顔を育んでおりますでしょうか。
わたくしは、いただいたジャムを事務所の皆で分けながら、この所沢という街に、また一つ、温かい物語が生まれたことを、心から、ありがたく感じておりました。


