エクステリアさくらの事務所で、皆様のささやかなお手伝いをしております、木村(仮名)でございます。
秋晴れが、なんと心地よいことでしょう。 事務所の窓を少しだけ開けておりますと、どこからともなく、金木犀(きんもくせい)の甘い香りが、風に乗って運ばれてまいります。 ここ所沢の街並みも、少しずつ、秋の色に染まり始めたようでございますね。
昨日、一昨日と、佐藤(仮名)さんや高橋(仮名)さんが、お庭での「動」と「静」の楽しみ方について、ワクワクするような、また、うっとりするようなお話をしておりました。 わたくしは、そんな皆様の暮らしの舞台が、今、どんな表情を見せているのかしらと、事務所の片隅で、そっと想像するばかりでございます。
そんな、秋晴れの穏やかな午後のことでした。 事務所の電話が鳴り、受話器を取りますと、それは、春先に、お庭の全面的なリフォーム工事をお手伝いさせていただいた、お客様からのものでした。
「木村さん?ごぶさたしております、○○です。お元気?」 その、弾むようなお声に、わたくしも、思わず笑顔になります。 「まあ、奥様!こちらこそ、ご無沙汰しております。お変わりございませんか?」
「ええ、元気よ。あのね、この間の台風、すごかったでしょう?でも、あの時、職人の鈴木(仮名)さんが『これで絶対大丈夫だから』って、頑丈に直してくださったフェンス、本当にびくともしなかったの。まず、そのお礼が言いたくて」
「まあ、左様でございましたか!それは何よりでございました。すぐに、鈴木にも伝えますね」
わたくしが、安堵の息をつきますと、奥様は、さらに楽しそうに、こうお続けになりました。 「それとね、もう一つ、ご報告。高橋(仮名)さんに、リビングの前に植えてもらった、あのジューンベリーの木。覚えてる? あの木がね、今、それはそれは見事に、真っ赤に色づいて。 毎日、それを眺めながら、主人とお茶を飲むのが、何よりの楽しみになったのよ。 本当に、美しい『秋』をプレゼントしてくださって、ありがとうって、伝えてちょうだいね」
電話を切った後、わたくしは、しばらくの間、胸がいっぱいでございました。 わたくしは、設計図を描くことも、重いコンクリートを運ぶこともできません。 けれど、こうして、わたくしたちがご提供した「工事」の、その先にある、お客様の「暮らし」や「感動」のお裾分けを、一番最初にいただける。 なんと、ありがたく、幸せな役割をいただいていることかと、改めて感じ入りました。
わたくしたちが手掛けるエクステリア工事とは、ただ頑丈なフェンスを取り付けることだけではございません。 お客様の毎日の食卓に、美しい「紅葉」という名の一皿を、そっとお運びすることでもあるのだと。
皆様のお庭も、今、きっと、一年で一番美しい秋化粧を始めている頃でございます。 どうぞ、その小さな変化を、宝物のように、お楽しみくださいませ。 そして、その感動を、いつか、わたくしにもこっそり教えていただけますと、幸いでございます。



