エクステリアさくらの職人をやっている、鈴木(仮名)だ。
空気がカラッとして、いい陽気になってきたな。 この間のブログで、佐藤(仮名)のやつが、ハロウィンだかなんだかで、庭を飾る話を、そりゃあ楽しそうに書いてやがった。 ああ、いいじゃねぇか。家族でワイワイ、カボチャだのお化けだのを飾るのは、楽しいもんだろう。
だがな、ちょっと待て。 その飾り、お前、どうやって取り付けてる?
昨日、近所の家で見かけちまったんだ。 俺たちが魂込めて仕上げた、あの真っ白な塗り壁に、ためらいもなく釘(クギ)を打ち込もうとしてる奴を。 冗談じゃねぇ。お前は、自分の家を、自分の手で、ぶっ壊そうとしてるんだぞ。
その①:「壁」は、穴を開けたら、そこから"泣き"だすぞ。
あんたが「ただの壁」だと思っている、その外壁や門柱。 特に、俺たち左官がコテで仕上げた「塗り壁」ってのはな、繊細な化粧をしてるお嬢さんみてぇなもんなんだ。
そこに、いきなり釘やネジを打ち込んだら、どうなる? その小さな穴から、雨水がジワジワと染み込んでいく。 冬になって、その水が凍ったら、中で膨張して、あんたが打ち込んだ釘の周りから、壁がヒビ割れて、剥がれ落ちる。
アルミのフェンスも同じだ。 針金で、力任せに飾りをぐるぐる巻きにして、表面の塗装(コーティング)が剥げたら、どうなる? そこから、じわじわとサビが広がっていくんだ。
その②:「木」は、生きてることを忘れるな。
「壁がダメなら、庭の木に」って、そう思うだろう。 だがな、その木も、あんたの家族と一緒に生きてるんだ。
細い枝に、重てぇカボチャのランタンなんかぶら下げたら、枝が折れる。 幹や枝に、結束バンドや針金を、ギチギチに締め付けてみろ。 木は、年々太くなる。その針金が、木の肌に食い込んでいって、そこから腐って、病気になる。 あんたは、大事なシンボルツリーの首を、自分で絞めてるようなもんなんだよ。
じゃあ、どうすりゃいいんだよ?
「じゃあ、何も飾れねぇじゃねぇか!」って、怒るんじゃねぇ。 やり方があるだろ、やり方が。
-
壁には、貼って剥がせる「屋外用の強力フック」を使え。 これなら、壁を傷つけねぇ。ハロウィンが終わったら、きれいに剥がせる。
-
木には、「麻ひも」みてぇな、柔らかい紐で、"優しく"結べ。 絶対に、食い込むほどきつく縛るな。イベントが終わったら、必ず外してやれ。それが、木への礼儀だ。
そして、ここからが、俺たちプロの仕事の話だ。 俺たちが、ここ所沢でエクステリア工事を頼まれた時、本当に気の利いたお客さんからは、こう言われることがある。 「鈴木さん、この壁のところに、後でリースとかを飾れるように、小さなフックを、最初から付けておいてくれませんか?」ってな。
最高じゃねぇか。 俺たちは、防水処理をきっちりやった上で、デザインを邪魔しねぇ、おしゃれで頑丈なフックを、あらかじめ壁に仕込んでおく。 それこそが、何十年も先まで見据えた、本物のエクステリア工事ってもんだ。
あんたが飾り付けを楽しみたい気持ちは、よくわかる。 だがな、そのせいで、あんたの大事な家や木の寿命を縮めちまったら、元も子もねぇだろうが。
楽しむんなら、賢く、優しく、楽しめ。 それができねぇなら、まずは、頑丈で、そういう遊びにもちゃんと耐えられる「本物の土台」を、俺たちに作らせろ。わかったな?



