エクステリアさくらで、お客様の暮らしをデザインさせていただいております、高橋(仮名)でございます。
あれほど賑やかだった蝉の声もいつしか遠のき、夜風にふと、秋の涼やかな気配を感じる頃となりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
夏の太陽の下、ご家族やご友人と過ごす賑やかなお庭の時間も格別ですが、わたくしは、この少しずつ夜が長くなっていく、秋の始まりの季節がとても好きでございます。 静けさの中に、虫の音が美しく響き渡り、空気が澄んで、月や星が一層きれいに見える。
今日は、そんな**“秋の夜長”**を、お庭という最高の特等席で愉しむための、ささやかですが、とても贅沢な空間づくりについて、お話しさせてください。
要素その壱:物語を照らし出す、あたたかな「灯り」の魔法。
夏のライティングが、BBQなどを楽しむための「賑やかさ」や「明るさ」を演出するものだとしたら、秋の夜にふさわしい灯りは、**「静けさ」や「親密さ」**を演出するものでございます。
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光の色を選ぶ わたくしが秋のお庭にご提案するのは、決まって温かみのあるオレンジ色の光(電球色)です。蛍光灯のような白い光ではなく、夕焼けや暖炉の炎のような色の光は、空間全体を落ち着いた、心安らぐ雰囲気に包み込んでくれます。
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光に「陰影」を持たせる 全体を煌々と照らすのではなく、あえて暗がりを残すのが、大人のお庭の嗜み。 手元で本を読むためのスポットライト、安全を確保するための足元のフットライト、そして、秋の草花の葉を優しく照らし出すアップライト…。 必要な場所に必要なだけの光を置くことで、お庭に美しい「陰影」と「物語」が生まれるのです。
要素その弐:心まであたたまる、特別な「居場所」をしつらえる。
少し肌寒さを感じる夜には、自然と人が集まりたくなるような、温かい「居場所」が必要になります。
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リビングの延長としてのガーデンファニチャー 雨風に強い屋外用のソファや、ふかふかのクッションを置けるベンチが一つあるだけで、お庭はリビングの延長として、ゆったりとくつろげる空間に生まれ変わります。
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揺らめく炎を囲む、特別な時間 最近、ご相談が増えているのが、安全に焚き火を楽しめる**「ファイヤーピット(庭用の焚き火台)」**を置くためのスペースです。パチパチと薪のはぜる音を聞きながら、揺らめく炎を囲んで、大切な人と静かに語らう時間…。想像するだけで、素敵ではございませんか?
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お湯が使える、という豊かさ 少し冷えてきた体に、温かいハーブティーやホットワインを。そんな時、お湯が使えるガーデンシンクがお庭に一つあるだけで、その時間は驚くほど快適で、豊かなものになります。
要素その参:五感を満たす、秋ならではの「音」と「香り」。
空間だけでなく、五感で秋を感じる工夫を取り入れると、お庭時間はさらに奥深いものになります。
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耳を澄ます、静寂のBGM 鹿威し(ししおどし)や、小さな噴水(ウォーターフィーチャー)が奏でる、静かな水の音。それは、澄んだ空気の中、一層美しく響く虫の音と共に、秋の夜にしか聴くことのできない、最高のBGMとなります。
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夜風が運ぶ、甘い香り 夕暮れ時から、甘い香りを放ち始める「キンモクセイ」のように、秋に香る植栽をお庭のどこかに植えてみてはいかがでしょうか。窓を開けた時に、あるいは、お庭に出た時に、夜風がふわりと運んでくる季節の香りは、日々の疲れをそっと癒やしてくれるはずです。
夏の喧騒が過ぎ、静けさを取り戻した夜のお庭は、ご家族や、あるいはご自身と、ゆっくりと向き合うための、最高の書斎であり、ラウンジであり、語らいの場所にもなり得ます。
わたくしたちは、ただ照明や設備を設置するのではありません。お客様がその場所で過ごされるであろう、豊かで美しい**「時間」**そのものをデザインしたいと、常に願っております。
一年で最も美しい月が夜空に浮かぶ季節。 あなただけの特別な「秋の夜長」を、ご一緒に創り上げてみませんか。