※今回のブログでは職人さんのお話をもととしています。
エクステリアさくらの職人をやっている、鈴木(仮名)だ。 この道、かれこれ20年になる。
お客さんが完成した庭を見て「わぁ、すごい!」って喜んでくれる顔。
あれが、やっぱり一番嬉しい瞬間だな。ピカピカのタイルデッキも、
まっすぐに伸びるカーポートの屋根も、俺たちの自慢の仕事だ。
でもな、俺たち職人が、心の中で静かに「よし」と拳を握る瞬間は、実はもっと前にある。
あんたたちお客さんからは、ほとんど見えない場所。
完成したら土やコンクリートの下に隠れてしまう、その場所での仕事こそ、俺たちの魂なんだ。
今日は、いつもは誰にも話さない、そんな「見えない場所」の話を、少しだけしてみようと思う。
こだわり其の壱:駐車場のコンクリート、その下にある「骨」の話
あんたが毎日、大切な愛車を停める駐車場。 ただ灰色のコンクリートが流し込んであるだけに見えるだろ? でも、違うんだ。
俺たちはコンクリートを流す前に、必ず「ワイヤーメッシュ」っていう鉄筋の網を、中に入れる。
これがコンクリートの「骨」になるんだ。この骨があるから、何トンもの車が乗っても、
長い年月が経っても、コンクリートは簡単にひび割れたり、沈んだりしない。
「なんだ、ただ網を入れればいいんだろ?」って思うかもしれねぇ。
でも、
この網の入れ方一つで、10年後の強度が全く違ってくる。
地面から少し浮かせて、コンクリートのちょうど真ん中にメッシュが来るようにする。
端から端まで、きっちり重ねて、結束線で締めていく。
夏は汗だくになるし、冬は手がかじかむ、地味な作業だよ。
でも、
このひと手間を惜しんだら、プロじゃねぇ。
あんたの暮らしと愛車を、見えない場所から20年、30年と黙って支え続ける。
それが、この「骨」の役目であり、俺たちのプライドなんだ。
こだわり其の弐:ウッドデッキを支える、数ミリとの戦いの話
家族みんなが集まるウッドデッキ。
その広い板の下には、「束石(つかいし)」っていう基礎の石が、いくつも並んでいる。
この石たちが、デッキ全体をがっしりと支えているんだ。
この束石を置く時が、俺たちにとって数ミリとの静かな戦いの始まりだ。
水平器っていう道具を当てて、ミリ単位で高さを合わせていく。
一つ目の石、二つ目の石…十個目の石まで、すべてが寸分の狂いもなく、一直線に、水平になるように。
「ちょっとくらい、いいじゃないか」 そんな甘えは、絶対に通じない世界だ。
ここで数ミリのズレが生まれると、数年後、あんたがデッキの上を歩いた時に、
床が「ギシッ」と鳴ったり、テーブルの足がガタついたりする原因になる。
毎日、家族の笑顔が生まれる場所だからこそ、俺たちは見えない土台に、一切の妥協をしねぇんだ。
こだわり其の参:レンガの小道が、ずっと美しい理由の話
玄関までのアプローチに敷かれた、おしゃれなレンガの小道。
その美しさを決めるのは、レンガの並べ方だけじゃない。本当のキモは、レンガの下にある。
きれいなレンガを敷く前に、俺たちはまず、その下の土を掘り、砕石(さいせき)っていう
細かく砕いた石を敷き詰める。
そして、「転圧機(てんあつき)」っていう機械で、何度も、何度も、体重をかけて地面を締め固めていくんだ。
ガッシャン!ガッシャン!と、大きな音が出る、決してスマートな作業じゃねぇよ。
でも、
この無骨な作業こそが、何年経ってもレンガの道がデコボコになったり、
雨でぬかるんだりしないための、一番大事なおまじないみたいなもんなんだ。
この固い固い土台があるからこそ、その上に敷かれたレンガたちは、
10年後も、その子どもたちの代になっても、きっと変わらずそこにある。
最後に
完成しちまえば、今日話した俺たちの仕事は、ほとんど見えなくなる。 でもな、それでいいんだ。
あんたや、あんたの家族が、何年経っても、雨の日も、風の日も、変わらず安心してその庭で笑ってくれること。それが、俺たち職人にとっての一番の勲章だからな。
もし現場で、黙々と作業してる俺たちを見かけたら、気軽に「ご苦労さん!」って声をかけてくれよな。 最高の仕事で、応えるからよ。