エクステリアさくらの事務所で、皆様のささやかなお手伝いをしております、木村(仮名)でございます。
九月も半ばに差しかかり、太陽の光が、その角度を少しずつ変えてきたように感じます。 真夏の、肌を焼くような力強い日差しから、どこか優しく、そして、長く影を落とす、穏やかな光へ。 わたくしは、この秋の午後の光景が、一年で一番好きでございます。
先日、広報用の写真の整理をしておりましたら、一枚の写真に、思わず手が止まりました。 それは、夏に工事を終えられたお客様のお宅の、夕暮れ時のウッドデッキを写したものでした。 その一枚の写真が、わたくしたちの仕事の、本当の意味を、改めて教えてくれたような気がしたのです。
その写真に写っていたのは、落ち着いたブラウン色に塗装された、美しい木目のウッドデッキでした。 長く伸びた西日が、デッキの上に、そして、その隣に植えられたシンボルツリーの葉に、まるで金色の絵の具を塗ったように、キラキラと降り注いでおりました。
木の葉は、ほんの少しだけ、赤く色づき始めていて。 デッキの上に置かれた小さなテーブルには、まだ湯気の立っているような、マグカップが一つだけ。 きっと、奥様かご主人様が、家事や仕事の合間に、ほんの少しだけ、ここで秋の風を感じていらっしゃったのでしょう。
その、なんでもない、けれど、かけがえのない穏やかな時間の気配に、わたくしは、胸が温かくなるのを感じました。
わたくしどものプランナー、高橋(仮名)は、きっと、この秋の西日が入る角度まで計算して、このウッドデッキの場所や、木の植える位置を決めたのでございます。 そして、わたくしどもの職人、鈴木(仮名)たちが、一枚一枚、丁寧に張り上げた床板の、その美しい木目と、すべすべとした手触りが、ご家族の暮らしに、心地よさをもたらしている。
わたくしたちの仕事は、ただウッドデッキという「物」を創ることではございません。 お客様が、その場所で過ごされるであろう、こうした、静かで、豊かで、そして、何物にも代えがたい「時間」の、ささやかな舞台を、ご用意させていただくことなのだと。
夏の賑やかな思い出も、もちろん素敵です。 けれど、秋の夕暮れ、一人、あるいはご夫婦二人で、言葉少なにお茶を飲みながら、過ぎゆく季節を感じる。 そんな、大人だけの贅沢な時間が、暮らしの中にあるということ。 それは、なんと幸せなことでしょうか。
お庭は、季節の光の移ろいを、一番美しく見せてくれる場所でございます。
わたくしたちの仕事は、その光が、お客様の暮らしの中に、最も美しく差し込むための、お手伝いをさせていただくことなのかもしれません。
次の週末には、ぜひ、あなた様のお庭にも、秋の光がどんな魔法をかけてくれるのか、見つけにいらしてみてくださいませ。 きっと、そこには、日々の忙しさの中で見過ごしてしまっていた、小さな宝物が、きらりと光っているはずです。