エクステリアさくらの事務所で、皆様のささやかなお手伝いをしております、木村(仮名)と申します。
ご家族が「いってきます」と一日が始まり、「ただいま」と帰ってくる場所。 郵便配達員さんが、大切な手紙を届けてくれる場所。 そして、お客様を一番最初にお迎えする場所。
それは、お家の門まわりと、玄関まで続くアプローチでございますね。
わたくしは、この「家の顔」ともいえる場所にこそ、作り手である私たちの、ささやかですが、温かな想いがたくさん詰まっているように感じられて、とても好きなのです。 今日は、そんな門まわりにまつわる、最近わたくしの心に残った、二つの小さな物語について、お話しさせていただければと存じます。
物語その壱:共働きご夫婦の毎日を、そっと支える門柱。
先日、わたくしたちのプランナー、高橋(仮名)が、一枚の図面を嬉しそうに見せてくれたことがございました。 そこには、とてもスマートで、機能的なデザインの門柱が描かれていました。
「このお客様、ご夫婦共働きで、ネット通販をよく利用されるそうなの。だから、ご不在の時でも大きな荷物を受け取れるように、宅配ボックスを組み込んでみたのよ」
彼女はそう言って、さらに言葉を続けました。 「それに、ご主人の帰りが、いつも少し遅い時間になるそうで。だから、ただ足元を照らすだけでなく、表札の文字がふわりと美しく浮かび上がるような、そんな照明を計画してみたの。疲れて帰ってきた時に、ご自分の名前が優しく光っていたら、なんだか少し、心が和むでしょう?」
それは、ただおしゃれなだけでなく、ご夫婦の忙しい毎日を、黙って、しかし確かに支えようとする、優しさに満ちたデザインでした。 わたくしはそこに、ただの「機能」だけではない、「おもてなしの心」が形になった美しさを見出したのでございます。
物語その弐:小さなヒーローの「宝物」が埋め込まれた小道。
また、別のある日のこと。 現場から戻った職人の鈴木(仮名)が、「これ、あそこの坊主が記念にって言うからよ」と、少し照れくさそうに、小さな青いガラスブロックをわたくしに見せてくれました。
そのお宅では、玄関までのアプローチの床に、ご家族みんなの手形を押せるスペースを設ける計画になっておりました。 それに加えて、当時5歳だった息子さんが、どうしても「自分の場所もほしい!」とおっしゃったのだとか。
そこで、息子さん自身に選んでもらった、キラキラ光る青いガラスブロックを、アプローチのどこか一箇所に、宝物のように埋め込むことになったのだそうです。
「どこに埋めたか、知ってるのは自分だけなんだって、すごく自慢げだったぞ」 そう話す鈴木さんの顔は、いつもの厳しい職人の顔ではなく、まるでお孫さんの話をするような、とても優しい表情をしておりました。
ただ歩くだけの通り道ではなく、家族の成長と共に、思い出が刻まれていく場所。 玄関までのアプローチとは、そんな素敵な時間旅行の、はじまりの道なのかもしれない、と感じ入りました。
門まわりとは、ご家族を「いってらっしゃい」と力強く送り出し、「おかえりなさい」と温かく迎える、いわばお家の、無口で忠実なコンシェルジュのような存在なのかもしれません。
ポストや表札といった機能はもちろん大切です。 けれど、その先にいるご家族の暮らしを想像し、ほんの少しの思いやりや、時には遊び心をプラスすること。 それが、わたくしたちエクステリアさくらが、ずっと大切にしている「家の顔」づくりでございます。
あなたの「おかえりなさい」が、もっともっと素敵な瞬間になりますように。 わたくしたちは、いつでもそのお手伝いをさせていただきます。