エクステリアさくらの職人をやっている、鈴木(仮名)だ。
気候が良くなって、ホームセンターにも秋の花の苗がずらりと並び始めたな。 あんたも、「庭に花でも植えるか」なんて、考えているかもしれねぇ。ああ、いいことだ。
だが、待てよ。 あんたは、色とりどりの花や、形のいい木ばっかり見て、一番大事なもんを見過ごしちゃいねぇか? その花や木が、これから何年も、何十年も、根を張って生きていく場所。そう、**「土」**だ。
どんなに高くて立派な木を植えたって、その下の土がダメなら、そいつはすぐに弱っちまう。 今日は、きれいな花壇やウッドデッキの下に隠れて、普段は見えねぇけれど、庭の命運を握る、この「土」の話を、しっかりとしてやる。
あんたん家の庭は、「生きた土」か?「死んだ土」か?
家を新築する時ってのはな、大きなトラックや重機が、何度も、何度も、あんたの土地の上を行ったり来たりする。そうすると、どうなる? 地面は、カッチカチに踏み固められちまうんだ。元々あった、植物が育つための柔らかくて栄養のある土(表土)は、ほとんど剥ぎ取られちまってる。
俺たちは、そんな状態の土を**「死んだ土」**って呼んでる。 水はけは悪い、空気も通らねぇ、栄養もねぇ。そんな場所に、いくら苗を植えたって、そいつはただ「生きているだけ」。元気に育つことなんか、できやしねぇんだ。
だから、俺たちの仕事は、まず、この「死んだ土」を、もう一度、植物が喜ぶ**「生きた土」**に変えてやるところから始まる。
これがプロの技!「土壌改良」という名の、土の蘇生術
「土壌改良」なんて言うと難しく聞こえるかもしれねぇが、やってることは、うまい飯を作るのと似てるかもしれねぇな。
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① まず、深く、深く、呼吸をさせる。 最初に、カチカチに固まった土を、スコップや鍬(くわ)で、深く、深く、掘り返していく。 これは、固まった土を砕いて、中に新しい空気を送り込んでやるためだ。「起きろよ」って、土の目を覚まさせてやる、大事な作業だ。
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② 次に、栄養満点の"ごはん"を食わせる。 次に、掘り返した土に、たっぷりの**「腐葉土(ふようど)」や「堆肥(たいひ)」**を混ぜ込んでやる。 こいつらは、いわば、土にとっての栄養満点のごはんだ。土の中に、目に見えねぇくらいたくさんの微生物を増やしてくれて、そいつらが、土をふかふかの、最高のベッドに変えてくれる。
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③ 最後に、「水の通り道」を確保する。 もし、あんたん家の土地が、粘土質で水はけが悪いなら、砂や、土壌改良材を混ぜ込んで、水の通り道を確保してやる。水がいつまでもジメジメと溜まっていると、植物の根っこが呼吸できなくて、腐っちまうからな。
この、汗だくになる地味な作業を、なぜ俺たちがやるのか。 それは、この「生きた土」こそが、あんたの庭の、10年後、20年後の姿を決めるってことを、嫌というほど知っているからだ。
生きた土に根を張った木は、病気になりにくく、台風にも強い。 生きた土に咲いた花は、色が濃く、生き生きとしている。
花壇を作る、木を一本植える。 その前に、まず、その足元にある「土」のことを、少しだけ考えてやってくれ。 わからねぇことがあったら、いつでも俺たちに聞けよ。最高の土の作り方、一から教えてやるからな。