エクステリアさくらで、お客様の暮らしをデザインさせていただいております、高橋(仮名)でございます。
七月下旬。梅雨が明け、空の青が一層深みを増し、一年で最も太陽が力強く輝く季節の到来でございますね。 皆様、いかがお過ごしでしょうか。
この時期になると、わたくしたちの元へ、こんな切実なご相談が寄せられることがございます。 「お庭を綺麗にしたのはいいのだけれど、夏は照り返しがひどくて、とてもじゃないけど外に出られないんです…」
せっかくのお庭が、夏の間は「灼熱地獄」になってしまう。 実はこれ、夏のお庭づくりで、非常によくあるお悩みの一つなのでございます。
今日は、そんな足元からやってくる夏の暑さと上手に付き合うための、床材選びと色彩の魔法について、お話しさせてくださいませ。
その壱:なぜ暑くなる?「地面の素材」が鍵を握っています。
お庭の体感温度を大きく左右するのが、地面を覆う「床材」です。 太陽の光を強く反射し、熱を溜め込みやすい素材ほど、照り返しは強くなります。
例えば、白っぽい色のコンクリートや、硬質なタイル。 これらは見た目が美しく、お手入れがしやすい一方で、一度熱を持つと、夕方になってもムッとした熱気を放ち続けることがございます。
では、どのような素材が夏のお庭に向いているのでしょう?
-
天然の冷却材、「土」と「芝生」 土や天然芝は、その内部に水分を含むことで、蒸発する際に周りの熱を奪う「気化熱」を発生させます。まさに、自然が生んだ天然の冷却材。裸足で歩いても心地よく、お子様やペットがいるご家庭には、何よりの優しさでございます。
-
熱を溜め込みにくい、「天然木のウッドデッキ」 意外に思われるかもしれませんが、天然木はコンクリートに比べて熱を溜め込みにくく、表面温度が上がりにくいという特性がございます。もちろん、真夏の日差しで熱くはなりますが、その上がり方は比較的穏やかです。
-
打ち水と相性抜群の、「保水タイル」 最近では、技術の進歩も目覚ましく、表面に打ち水をすると、その水分を内部に保持し、長時間にわたって気化熱で涼しさを持続させてくれる、高機能なタイルもございます。
その弐:五感で涼を感じる、「色彩」と「水」の魔法。
実際に温度を下げる工夫と合わせて、「涼しそう」と五感で感じる空間を演出することも、とても大切です。
-
「光」と「影」のコントラスト お庭全体を明るい色で統一するのではなく、あえてシェードやパラソルで濃い木陰を作り出し、その下に、葉の色が深い植栽を配置する。光と影の美しいコントラストは、人の目に、そして心に、涼やかさをもたらしてくれます。
-
「水」のきらめきと音色 ガラスの器に水を張って、ビー玉や水中花を浮かべる。あるいは、小さな**水盤(ウォーターフィーチャー)**を設けて、水の流れる音をそっと響かせる。キラキラと光を反射する水の景色と、涼やかな水の音は、それだけで体感温度をすっと下げてくれるような、不思議な力を持っております。
そして、究極の照り返し対策は、やはり、木々が作り出してくれる**「木陰」**でございます。 葉が大きく、夏に涼しい木陰を作ってくれる落葉樹(例えば、アオダモやハナミズキなど)をお庭の主役として一本植えるだけで、お庭の快適さは劇的に変わります。 葉が水分を蒸散させることで、周囲の空気そのものを冷やしてくれる。 それは、エアコンでは決して作ることができない、自然からの最高の贈り物なのです。
夏の庭づくりは、単に太陽の光を遮ることではございません。 素材の特性を深く理解し、色彩や自然の力を巧みに借りて、いかに「心地よい涼」をデザインするか。そこに、わたくしたちプランナーの腕の見せどころがございます。
灼熱の太陽と、上手に付き合う。 そんな賢く、そして美しいお庭づくりのお手伝いを、ぜひさせていただければと存じます。